2026年の「穀雨」はいつ？意味と由来

穀雨（こくう）とは、二十四節気（にじゅうしせっき）の第6節目にあたる季節です。「百穀春雨（ひゃっこくはるさめ）」という言葉が由来となっており、「あらゆる穀物を潤し、育てる春の雨」という意味が込められています。

2026年の穀雨は、4月20日（月）から始まります。期間としては、次の節気である「立夏（5月5日）」の前日、5月4日頃までを指します。
この時期は、変わりやすかった春の天気が安定し、日差しが強くなり始める季節の変わり目です。農家にとっては田植えの準備を始める目安となり、植物にとっては成長を促す恵みの雨が降る大切な時期と言えます。春の最後を締めくくる節気であり、暦の上では夏へのカウントダウンが始まっています。

穀雨の期間の「七十二候」

二十四節気をさらに約5日ごとの3つに分けた期間を「七十二候（しちじゅうにこう）」と呼びます。穀雨の間にも、自然界では細やかな変化が訪れます。

初候：葭始生（あしはじめてしょうず）

4月20日〜4月24日頃
水辺の葭（あし）が芽吹き始める頃です。夏に向けて緑が濃くなり、風景に瑞々しさが加わります。植物が勢いよく成長する姿に、生命の力強さを感じる時期です。

次候：霜止出苗（しもやみてなえいずる）

4月25日〜4月29日頃
朝晩の冷え込みが和らぎ、霜が降りなくなる頃です。農家では安心して苗を植え付けられるようになります。この時期の霜は「忘れ霜」とも呼ばれ、春の終わりの名残惜しさを感じさせます。

末候：牡丹華（ぼたんはなさく）

4月30日〜5月4日頃
「百花の王」と呼ばれる牡丹（ぼたん）が大輪の花を咲かせる頃です。立夏を目前に控え、華やかな花々が季節の移り変わりを告げます。この時期には藤の花なども見頃を迎え、行楽にも適した時期となります。

この時期の風物詩「八十八夜」と季節の行事

穀雨の期間中には、日本の伝統的な雑節（ざっせつ）である「八十八夜（はちじゅうはちや）」があります。立春から数えて88日目にあたる日で、2026年は5月2日が八十八夜です。
「八十八夜の別れ霜」と言われるように、この日を境に霜の心配がなくなり、気候が安定するとされています。また、「夏も近づく八十八夜」と歌われるように、茶摘みの最盛期でもあります。この日に摘まれたお茶は不老長寿の縁起物として珍重されており、季節の節目を感じる大切な日です。

穀雨に味わいたい旬の食べ物

春の終わりから初夏にかけてのこの時期は、香り高い食材が旬を迎えます。

• 新茶：八十八夜に摘まれる一番茶は、旨み成分が多く香り豊か。贈り物としても大変喜ばれます。
• タケノコ：雨の後にぐんぐん伸びることから「雨後の筍」と言われるように、この時期のタケノコは柔らかく風味豊かです。
• サワラ（鰆）：「春」の「魚」と書くサワラは、この時期に脂がのって美味しくなります。西京焼きなどが定番です。
• 春キャベツ：葉が柔らかく甘みがある春キャベツは、サラダや浅漬けで素材の味を楽しむのがおすすめです。

穀雨の時期の過ごし方と贈り物

穀雨は「春の雨」を楽しむ季節でもあります。雨の日が多くなるため、お気に入りの傘やレイングッズを新調して気分を上げるのも素敵な過ごし方です。
また、大型連休（ゴールデンウィーク）の直前でもあるため、帰省の手土産や、季節の挨拶として新茶や和菓子のギフトを選ぶのも良いでしょう。特に新茶は「初物」として縁起が良く、目上の方への贈り物にも最適です。
まもなく訪れる夏に向けて、衣替えの準備や部屋の模様替えを少しずつ始めるのにも適したタイミング。過ぎゆく春を惜しみつつ、爽やかな初夏を迎える準備を楽しんでみてはいかがでおしょうか。